世界中の空港で人手不足！！

この記事では、新型コロナウイルスが治りつつある今日において、海外旅行を検討されている方に現役航空会社スタッフより現在の空港の状況についてお伝えします。

なぜ、人手不足？
新しいスタッフの採用を進めているものの
人手不足による影響は？
海外渡航者が気を付ける事は？
まとめ

なぜ、人手不足？

2020年春より長期に渡り世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス(Covid-19)の影響で世界中の航空会社はこれまで類をみないほどの大損害を被り、経営存続の危機に見舞われました。一部の航空会社は各国の政府からの公的資金援助を受け、経営及び一部の運航を存続させる事ができましたが、世界規模では幾つかの航空会社は倒産しました。

航空会社はこの危機的状況を乗り越えるため一時的に多くの従業員を休職にしたり、早期退職者を募ったり、場合によっては解雇されたスタッフもいました。特に運航従事者や空港勤務者が対象となった航空会社も少なくありませんでした。

そして、新型コロナウイルスの猛威が落ち着きはじめた2023年、各国の入国制限も徐々に緩和、解除され、海外旅行需要が戻りつつあります。ところが現在は空港を離れてしまった従業員を復職させる事が困難となり、今なお空港で働くスタッフの数（マンパワー）が圧倒的に不足しているのです。

新しいスタッフの採用を進めているものの

2023年4月現在、各航空会社は新しいスタッフの採用活動に尽力しているものの、なかなか応募者が集まらない状況です。新型コロナウイルスの影響により航空業界は不安定な業種としてコロナ以前ほどの就職の人気が失われてしまいました。実際、2019年並びに2020年に採用された新卒スタッフより退職者も多く、業界の将来性を不安視し別業界へ転職したスタッフも多くいました。この状況は特に海外の空港で多く見られます。そして新たに新規スタッフを採用しても一人で実務をこなせるまでには多くのトレーニングを経てそれなりの時間を要するのです。

人手不足による影響は？

人手不足による影響が深刻なのは空港です。空港にはさまざまな職種の人が働いており、世界ではいまだに2019年時の60％ぐらいのスタッフ数で運営している空港もあります。また人手不足の影響により、飛行機の遅延やキャンセルが多発しており、受託手荷物の紛失（ロストバゲージ）も増えております。残念ながら、海外では人手不足により全ての荷物を捌ききれない事実があることをお伝えせねばなりません。そして、以前よりセキュリティチェックも厳しくなっている事もあり、各空港のセキュリティチェックや出入国検査、税関も時間帯によっては大変混み合っております。海外によっては入国管理官や税関職員、管制官の人員不足さえ起こっているのです。

海外渡航者が気を付ける事は？

まず、時間に余裕を持って空港にお越しいただきたいのです。国際線利用の場合は、遅くともご出発時間の３時間前までにはチェックインカウンターに到着するぐらいの時間の余裕をお願いします。もし、空港で突然の予期しない想定外の問題が起こったとしても、時間に余裕があれば解決できる事も多いのです。

そして、受託手荷物（お預け荷物）をできるだけ少なくする事も一つの対策です。受託手荷物の数が増えれば増えるほど紛失のリスクは上がります。特に海外で乗り継ぎ便をご利用の場合、乗り継ぎ回数と紛失リスクは残念ながら比例します。もし短期出張の場合は、機内持込荷物のみコンパクトにまとめるのもリスク回避となります。

筆者は受託手荷物の中にスマホで確認できるGPSトラッカーをつけています。紛失した場合におおまかな所在場所が分かるだけでも捜索の効率とスピードが格段に向上します。ちなみに受託手荷物が紛失し捜索が極めて困難なケースは、出発前に取り付けたタグが何らかの影響で外れてしまった場合が多いです。（ご自身でスーツケースにタグを貼る場合はズレないようしっかり合わせて貼って下さいね。）

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ちなみに、筆者は現役航空会社勤務者でありながら、昨今のデジタル技術を信用しておりません。近年、著しいデジタルの普及により航空券も搭乗券もスマホが代用として搭乗が可能となりました。日本国内線では完全に印刷された搭乗券が失くなる日も近いのですが、国際線も同様です。

筆者はスマホでチェックインを事前に済ませるものの、空港でチェックイン端末機（KIOSK)で改めて、紙で搭乗券を印刷します。（とても非効率な事であり航空会社の意図と反した行為ですみません。）その理由はスマホのバッテリー切れや突然の故障の可能性を払拭できないからです。そしてワクチン接種証明書も紙で所持しています。